「ああああぁああっ、ひっ、ひぃ……っ! はっ、あっ、んんんっっ――!」
「リリア、リリア……っ!!」
痕が残るほどの力で腰を掴まれ、獣のように後ろから突かれる。肉がぶつかる音と同時にリリアの両手首につけられた鎖ががしゃがしゃと金属音を鳴らした。
もう何日経ったのだろう。もしかしたらまだ数時間しか経っていないのかもしれない。時間の流れがわからなくなるほどにマレウスの行為は激しく、リリアは精液と涙、様々な体液で身体を汚したまま淫らな声を上げ続けていた。
力の入らなくなった身体はベッドに突っ伏し、だが腰をマレウスに掴まれているため臀部だけを突き出すような体勢を取らされている。無理だと言っても行為は止まず、リリアはただただ人形のように揺さぶられていた。
強すぎる快楽に気を失いそうになるたびにマレウスが臀部を叩いて強制的に目覚めさせてくる。リリアの臀部にはいくつもの手形が残っており、毒々しいまでの赤色は他人が見れば痛々しさを感じさせるものになっていた。
「あっ、ああぁ、あああ……っ! んっんっんっ……っ!! ひぃ、いいぃ……っ!」
皮膚が破れるのではないかと思うほどに強く臀部を叩かれる。その間も律動は止まることなくリリアは苦痛を含んだ嬌声を上げ続け、マレウスは心底楽しそうに笑った。
「ふっ、リリアは痛いのが好きらしいな。叩くたびに僕のものを締めつける」
「ちがっ、ちがうっ、マレ、ひぐぅ! あっ、あっ! はっ、んっ、ふぁっ……!」
弱々しく頭を振るリリアを嘲笑うかのようにマレウスは乱暴に最奥を穿ち、精を放つ。これ以上入らない場所まで貫かれ、直接注ぎ込まれた熱の衝撃にリリアは視界が真っ白に染まる。気づかないうちにリリアは何度目かの精液を零し、その液はすでに水のようにさらさらとしていた。
「ひ、ぁ……ぁ……も、マレウス……」
限界だと全身で訴えてもマレウスは止まらない。再び律動が開始され、リリアは悲鳴のように淫らな声で叫んだ。絶え間なく襲ってくる快感は暴力に等しく、いっそ狂ってしまいたいが、マレウスとは違いリリアの思考は正常を保ってしまっている。
リリアは顔を動かし、視線を後ろに向けた。そこには自分を抱いているマレウスの姿がある。オーバーブロットのせいで角が欠けてしまったマレウスの姿が。
マレウスの様子がおかしいと気づいたときにはもう遅く、彼の魔力は暴走して学園を襲った。強大な魔力を持っていたマレウスの箍が外れたのだ、その後の惨状は語るまでもない。
無事とは言えないものの比較的軽傷だったリリアが放った魔法はマレウスに命中し、暴走して心身ともにズタボロになっていた彼は正気を取り戻す。
だが、その後が一番の問題だった。
マレウスに向けられる、恐怖と怒りの感情。自分が引き起こしてしまった惨劇に彼は耐えることが出来ず、自身の罪に戦き叫びながら転移しようとしていた。そんなマレウスにリリアは駆け寄り、そして共にその場から消え去る。マレウスを一人にしてはいけないという本能が鳴らした警鐘に従った行動だった。
それは今でも間違っていない行動だったとリリアは考えている。
けれど、その行動を選んだ時点でこうなることも決まってしまったのだと、リリアは理解してしまった。
「考えごととはずいぶんと余裕だな。ならば、もっと激しくしても構わないな?」
リリアが答える間もなくマレウスは臀部に手を叩きつける。
「ひぃぐぅ……っ!」
痛みで短く叫んだリリアをくつくつと笑いながら、マレウスは赤く腫れた臀部にそっと指を沿わせた。痺れる痛みと微かに感じるむず痒さが同時に襲ってくる感覚はリリアに戸惑いを覚えさせる。言葉では拒否しても、もっと強く叩いて欲しいと願う自分がいることを薄々感づき始めていた。
マレウスが焦らすようにピストンを止め、性器が入ったままの結合部を指で広げる。注がれた精液がリリアの太腿を伝い、滴り落ちる。ぴったりと重ね合わされていたところが久方ぶりに空気に触れ、外気と自身の熱の違いにリリアは思わず吐息を零した。
身体が燃えるように熱い。ともすればぞっとするほどの冷たい空気にさえ気づかないほど、リリアの身体には熱が巡っていた。
少しだけ冷静になった感覚が存在を主張するかのごとくリリアの元へ届き始める。精液と体液が混ざって酸化した匂いが鼻につき、優れた聴覚はマレウスの荒い息づかいを教え、また自身も呼吸が荒いことを感じ取った。
「……ふっ、ぅ……っ」
心臓は早鐘を打ち、全力疾走したあとの獣のように小刻みに呼吸を繰り返す。無意識に揺れる腰は律動の再開を待ち望み、内壁はヒクヒクと収縮していた。
最初は、こうではなかったのだ。隠れ家で罪の意識に震えるマレウスを抱き締めて慰めるだけだった。けれど正気に戻ったように見えていたマレウスはまだブロットの許容量を超えたままで、リリアを無理矢理に組み敷いた。
澱みを含んだ魔力を体液という形で注ぎ込まれ、自身の魔力が上書きされていくことに気づいたリリアは、それでも抵抗をしなかった。
「リリア、リリア」と何度も名前を繰り返しながら縋るようにこちらを組み敷き、泣きそうな表情をしているマレウスを拒絶することが出来なかったからだ。欠けてしまった角は痛々しく、乱暴さは恐怖の表れだった。そもそもオーバーブロットするまでマレウスに気づいてあげられなかったのはリリアの責任だ。ならば、最期まで共にいることがマレウスへの贖罪だろう。
それが間違った選択肢であることは重々承知の上で、リリアはそう決断した。もしかしたら澱んだ魔力に飲まれていた影響もあったのかもしれないが、すでにそれを知る術はない。
だから、あとはもう堕ちていくしかなかった。
「マレウス……」
蜂蜜よりも甘く、毒婦のごとく淫らに誘う。揺らいでいた腰の動きを自らの意思で動かし、ゆっくりと速さを増す。結合部から指が離れ、内壁の全てをマレウスの性器で埋められたリリアは喜悦に啼く。腰が動くたびにぐぼぐぼと精液と空気がかき混ぜられ泡立つ音が響いた。それでも先ほどまで与えられていた快感にはほど遠く、リリアの心はもっと乱暴に、無理矢理に暴いて欲しいと訴える。
そんなリリアの願いを知ってか知らずか、マレウスはピストンを再開した。
浅瀬ギリギリまで引き抜かれた後、肉の壁を割るように奥まで貫かれる。男を知らなかった身体はマレウスによって開花し、彼の性器に吸いつくようぴったりと張りついている。まるでパズルのピースのようで、それが当然とばかりに二人のものは隙間なく触れ合っていた。
「あ、ひぃいっ、ひあっ! あ、あ、あ、ああ、いい! いい、い、あ、あああ!」
段々と早くなる律動と、時折叩かれる臀部への痛みがリリアの興奮を高めていく。我を忘れ、ただひたすらに快楽を享受する。雪崩のように襲ってくる快楽に飲み込まれ、淫靡にマレウスを求める姿に彼も唾を飲み込んだ音が聞こえた。
「リリア……っ!」
「あああぁ……っ、こんなっ、こんなの、っく、ううう……! ふっ、う……っっ!」
激しくなる律動で結合部からは精液が噴き出し、二人の身体を汚していく。それでも快楽を貪るための行為が止まることはない。世界に二人しかいないかのようにただただ相手を求め続ける。
鎖の拘束を解いたマレウスはリリアの両腕を自分の方に引っ張る。そのせいでさらに抽挿が深まり、リリアは恍惚に泣き叫んだ。
「あ、あああっ、いいい、いい……っ! ひ、い、っ、もっと、もっとぉ……っ!」
がんがんと骨が軋むほどに肉同士がぶつかる。初めての経験に痙攣が止まらない。嬌声には苦しさも滲んでいたが、リリアの表情は悦楽に支配されだらしなく笑っていた。
「リリア、もう……っ」
「あっ、あっ、ああ、あ、あ、あ……っっ! んくっ、ああああぁ――――っっ!!」
前立腺を抉るよう突かれ、最奥に精液を叩きつけられる。今まで出されたどの精液よりも勢いのあるそれにリリアは絶頂した。
「あ、あああ!? あ、う、あ、ひっ! あああ、とまら、とまらな……っ!!」
絶頂したにもかかわらずリリアの性器からはずっと精液が吹き出し、全身の震えが、快楽の波が収まらない。身体を突き抜ける快感にリリアは目の前がチカチカと光る。意味を持たない言葉の羅列が口からもれ、自分が今どうなっているかもわからなかった。その間もマレウスの射精は止まらずに最奥を刺激し続ける。
「う……あ……あ、あっ、あ……? ひ、ふ、ぅ……っ……」
永遠に続くかと思われた快楽は次第に波が引いていき、マレウスが手を離すと同時にリリアはその場に倒れ込んだ。その拍子に性器が抜け、後孔から精液が流れ出す。
体液で汚れることも厭わずにマレウスはリリアを抱き寄せた。その身体はまだ熱く、そして震えていた。
「どこにも行かないでくれ、リリア……僕の傍にいてくれ……お願いだ……」
「マレウス……」
鉛のように重たい腕を必死に動かし、リリアもまたマレウスを抱き締め返した。
「どこにも行かぬ。ずっとお主の傍にいる。……最期のときまで、ずっと一緒じゃ」
泣きじゃくりながら唇を重ねてくるマレウスを受け入れる。舌を絡め、唾液を啜り、吐息さえも飲み込むようにキスを続けた。
再び首を擡げるマレウスの性器にリリアは手を添え、優しく撫でる。キスを中断したマレウスが切なさそうに名前を呼ぶ。わかっているとばかりにリリアは微笑み、相手の性器に顔を埋める体勢を取る。それから体液でどろどろに汚れている性器をなんのためらいなく口に含んだ。
「あっ……!」
マレウスが小さく呻く。それに気をよくしたリリアは一気に根元まで銜え込んだ。じゅるじゅると淫猥な水音を立てながら頭を上下に動かし、口を窄めて性器の中に残っている精液を激しく吸い上げる。それから舌を使って裏筋の血管も余すところなく舐め上げる。
ふるふると小鹿のように震えるマレウスにリリアは目を細めて笑う。その挑発が癇に障ったのか、マレウスはリリアの頭を掴んで喉奥まで一気に性器を押しつけた。
「んぐっ!? ごほっ、んむ、むぅ、むぅぅ……っ!」
ごりごりと喉奥を抉られ嘔吐きそうになりながら、それでもリリアは懸命にマレウスの性器を口内で愛撫する。突き込みに合わせて舌を絡ませ、歯を立てないように大きく口を開けた。
「ぐぶっ、んうぅう! ぢゅぶっ、んぐ、ぐっ!」
突き破られると錯覚するほどの乱暴な動きに上手く呼吸が出来ない。苦しさで瞳に涙が浮かぶが、それでもリリアは確かに快楽を得ていた。そっと自身の性器に片手を伸ばして上下に扱く。淫奔な水音が鳴り止まない二人の行為はひどく荒々しいものとなり、ついにそれはマレウスの性器が脈動したことで終わりを告げた。
「むぐっ! ん、んっ、んぐぅううぅうう!!?」
息が出来ない勢いの射精にリリアはただ精液を飲み下していくしかない。それでも飲みきれない精液が口の端から零れていく。暴力とも呼べる圧倒的な衝撃にリリア自身もいつの間にか達してしまっていた。
「……はー、はー、はぁ、はぁー…………」
最後の一滴を飲み込んだリリアの口から性器が抜かれる。唇の端や口内も精液で白く染まってしまった。リリアは恍惚しながら零れた精液を指で掬い、口に含んでいく。
「ふふ、クセになりそうな味じゃな……」
「……美味しいのか?」
「お主も味わってみるがよい」
リリアはマレウスにキスをして、舌の上で唾液と精液を混ぜ合わせたものを相手に味わわせる。
マレウスは一度眉を顰め、それでもキスを止めることはなかった。彼は自らの体液を味わいながら瞼を閉じ、行為の余韻に浸っている。
不意にリリアは床に転がったマジカルペンに視線を移した。鮮やかなエメラルドグリーンに輝いていた魔法石は真っ黒に染まっている。
それはマレウスのだけではなく、リリア自身のものも同様だった。
「…………」
きっともう、どちらとも長くはないのだろうとリリアは思う。自我を保っているのもいつまで続くかわからない。奇跡は起きずにこのまま朽ちていくのだろう。
それでも、マレウスと共に死ねるのであればそれはリリアにとって最大級の幸福だ。
共に死ねるという背徳の味に酔いしれながら、リリアもまた、目を閉じたのだった。
7章前なのでオバブロ妄想ですね。そしてSMチックな話を書きたかったので書いた話だった気がします
今見るともっと上手く書けそうだなーと思ったりもしました