No.39, No.38, No.37, No.36, No.35, No.34, No.33[7件]
私のパソコン無線だと数分後に切れる
何もできないんだが
何もできないんだが
師走に一人お仕事辞めるみたいでてんやわんや
マレリリ小話毎日更新企画中その6(毎日とは言っていない)
昔の没ネタを完成させた版。続きも書きたい。監督生視点あり
リリアがその写真を手に取った瞬間、まるで魔法をかけられたかのように動けなくなった。
「流石マレウス様! 写真でも麗しくいらっしゃる……! シルバーもそう思うだろう!」
「うるさい、セベク。だが、確かにお前の言うとおりだな」
隣でわいわいと騒ぐ声もどこか遠くに聞こえるほどにリリアは目の前の写真に心を奪われている。
制服や礼服よりも砕けた感じの衣装は表情も相まっていつものぽわぽわとした雰囲気──誰がなんと言おうとリリアにはそう見えるのだ──が消え去り、男らしさを強調していた。ポケットに手を入れるなど絶対にしない仕草には、どこか見てはいけないものを見てしまったかのような背徳感と蠱惑的な魅力があり思わず唾を飲み込んでしまう。こちらに向かって差し出されている手はよく見なくても長く角張った男の手をしている。ちらりと見える黒く塗られた指が高級感のある光沢を放ち、いやらしささえ感じてしまう。それでいて胸元の蝶ネクタイを崩さないあどけなさが色気と同時に襲ってきて、もはやリリアの脳みそはショート寸前であった。
写真を見た衝撃をなんと言えば良いのだろうか。どう表せば己の今の感情を伝えられるのかわからないリリアは、最終的に“わしのマレウスが格好いい……!”という語彙力をどこかに投げ捨てた結論に至った。
「……リリア様?」
「親父殿?」
すっかり固まってしまった己を不思議がるセベクとシルバーの声に、ようやく我に返ったリリアは写真から顔を上げて唇をわなわなと震わせる。いや、唇だけではなく、全身が震えていた。
驚いたセベクがこちらを心配して声をかけてくるが──シルバーはなぜか呆れたようにこちらを見ている──リリアはそれに応えることができなかった。それよりももっと衝撃なことに気づいてしまったからだ。
これは写真である。つまりは、この格好いいマレウスの写真を撮った人物がいるということだ。撮影者はリリアが見るよりも先に、この格好いいマレウスを生で体感しているのだ。
こんな格好いいマレウスを恋人であるリリアでさえ見たことはないのに!
そう考えた次の瞬間には脱兎のごとくディアソムニア寮を駆け出しており、叫ぶセベクの声さえも置き去りにしていた。向かうは撮影者である監督生がいるオンボロ寮だ。
そのため、追いかけようとするセベクの首根っこをシルバーが掴み、馬に蹴られたいのかと呆れたように言ったことや馬術部だから馬の扱いには慣れている! と見当違いなことを叫ぶセベクの一幕をリリアは知る由もないのだった。
「たのもう!」
ばんっ! と蝶番が悲鳴を上げて扉が開かれ、その狼藉を働いた人物を認識した瞬間に監督生は思わず「出た!!!!!!」と叫んでしまった。そんな態度にも扉を開けた人物──リリアは肩をすくめるだけで、特に咎めるようなことは言ってこない。かわりに家主の許可を取らずにソファーに座って足を組み「お茶はまだかのう」などと言い放つ。同棲しているゴーストたちはそんなリリアの態度にも慣れたように紅茶を用意し始め、自分の分もテーブルに置いてくれた。こちらとしては一刻も早く帰って欲しいので用意などして欲しくはなかったのだが、心のなかで泣く泣くため息を吐きながら自分もまたソファーに腰掛ける。
「それで、今日は一体なんなんですか……」
「そう、そうじゃ! この写真! お主が撮ったものじゃろう!」
リリアが見ろとばかりに監督生の前に突きつけた写真は、マレウスの誕生日記念として自分が撮った写真だった。特に何の変哲もないただの写真に、首を傾げながらリリアの問いに首を縦に振る。
「これがどうしたんですか? なにか茨の谷ルールでだめなところありましたか?」
撮影時、一国の王を写真に撮るということでマレウスにも確認を取って撮影したのだが気づかないところで不備があったのだろうか。こんなことで国際問題にならないよな、と冷や汗をかきながらおそるおそるリリアへ視線を向けると、彼はぶるぶると全身を震わせている。
「え、あ、あの、リリア先輩……?」
「……だめなところじゃと? そんなの決まっておるじゃろう!」
リリアは拳を握り、思いっきりテーブルに叩きつけながら叫ぶ。
「こんなに格好いいマレウスが衆人の目に晒されるなど断じて許さぬ!!」
「…………………………はぁ」
たっぷりと間を取り、それから零れたのはため息一つだった。後ろでゴーストたちが吹き出しているが目の前のリリアは気づいていないらしい。呆れた視線を向けられていることに気づかずどれほどマレウスが格好いいかを語る相手に頭が痛くなる。
これ、リドル先輩がマレウス先輩にパイ投げした後の写真もあると言ったらどうなるんだろうな、と一抹の不安が過ぎるが自国のことわざである「口は災いの元」をこの世界に来てから充分に理解していたため一切口を開かなかった。夢中で語るリリアの目を盗んで該当する写真を制服の中に隠す。
「ん? 今お主なにかしなかったか?」
「いいえ、なにも。それで、結局リリア先輩は恋人であるツノ太郎を衆目に晒したくないと。それなら大丈夫です、この写真はその一枚しかないですよ」
他の写真はあるけど、と心のなかで呟く。これで満足して帰ってくれないか、と考えるがこれまでの経験からそんなことはないのだろう。現にリリアは先ほどの言葉を聞いて頬を膨らませて拗ねた様子を見せる。そんな一見年相応に見える──年相応ではないと知っているが見た目の可愛さに騙されそうになる──態度に首を傾げた。
「確かに、そんな格好いいマレウスを他の者に見せたくない気持ちはあるんじゃが……それよりももっと、その……わしよりも先にお主があんな格好いいマレウスを見たことが嫌なんじゃ……」
「……それはそれは」
変なところで奥手な恋愛初心者なリリアの可愛らしい嫉妬に思わず頬がにやける。
「だからお主の記憶をちょっと操作しようと思うてな」
「ヤンデレは遠慮します!!!!!!」
前言撤回である。初心者どころかヤンデレの方向に舵切ったリリアに怯えてソファーの裏に隠れる。ゴーストたちが間に立ち塞がってくれたが身体の震えが止まらず、実は傍にいたグリムが「ふなぁ……!」と泣き始めてしまった。
「冗談じゃ、冗談。そこまで本気にしなくとも良かろう?」
「いや、ちょっと冗談に聞こえないです……あなたの場合……」
「くふふ、怖がらせてしもうたな。わしも仕方のないことだとわかっておる、おるのじゃが年甲斐もなく嫉妬してしまった」
すまぬな、と一気に落ち込んだように小さく謝罪したリリアに頭を掻く。そのままソファーの裏から出てゴーストカメラを相手に押しつけた。不思議そうな表情で受け取ったリリアに昔学園長から教わったことを伝える。
「そのカメラ、写真に写ったものが動画として見れたり、実体を持って動いたりするんですよね。本来は撮影者と被写体の結びつきが強ければ、なんですけどそこはほらリリア先輩やツノ太郎ならなんとか出来るかなーと思うので。だから、そのカメラがあればユニオンの衣装を着たマレウス先輩とお話出来るんじゃないかと思いまして」
「お主……」
「写真は消せても一番に見たという事実は消せないし仕方のないことですけど、でもこれでお話出来たらリリア先輩も少しは気が晴れたりするのかな、と」
その言葉にリリアはゴーストカメラを大事そうに抱えなおし、穏やかに微笑んだ。
「ありがとう、では少しの間だけ借りても良いか?」
「はい。あ、でも壊さないでくださいね! 大事なものなので」
「わかっておる」
その後、ゴーストカメラの使い方を指南されたリリアは夕刻にオンボロ寮を去って行った。なぜか巻き込んでくる相手に少しだけ辟易していたが、やっぱり大切な友人たちが幸せそうにしているのが一番だと、緊張で凝ってしまった肩を伸ばしながら思う。
もうアイツ帰ったのか? 怖いんだゾ……と震えてるグリムを宥めながらゴーストたちと一緒に夕飯を用意するためにキッチンへ移動する。
──このとき、良いことをしたと満足していた自分はその後の顛末を知ることはない。
そう、ゴーストカメラでなんとかマレウスを実体化させたリリアが、それを本物のマレウスに見つかってしまいなにがどうなったかはわからないがなぜか三人で性行為をすることになったことなど知る由もないのだった。
畳む
昔の没ネタを完成させた版。続きも書きたい。監督生視点あり
リリアがその写真を手に取った瞬間、まるで魔法をかけられたかのように動けなくなった。
「流石マレウス様! 写真でも麗しくいらっしゃる……! シルバーもそう思うだろう!」
「うるさい、セベク。だが、確かにお前の言うとおりだな」
隣でわいわいと騒ぐ声もどこか遠くに聞こえるほどにリリアは目の前の写真に心を奪われている。
制服や礼服よりも砕けた感じの衣装は表情も相まっていつものぽわぽわとした雰囲気──誰がなんと言おうとリリアにはそう見えるのだ──が消え去り、男らしさを強調していた。ポケットに手を入れるなど絶対にしない仕草には、どこか見てはいけないものを見てしまったかのような背徳感と蠱惑的な魅力があり思わず唾を飲み込んでしまう。こちらに向かって差し出されている手はよく見なくても長く角張った男の手をしている。ちらりと見える黒く塗られた指が高級感のある光沢を放ち、いやらしささえ感じてしまう。それでいて胸元の蝶ネクタイを崩さないあどけなさが色気と同時に襲ってきて、もはやリリアの脳みそはショート寸前であった。
写真を見た衝撃をなんと言えば良いのだろうか。どう表せば己の今の感情を伝えられるのかわからないリリアは、最終的に“わしのマレウスが格好いい……!”という語彙力をどこかに投げ捨てた結論に至った。
「……リリア様?」
「親父殿?」
すっかり固まってしまった己を不思議がるセベクとシルバーの声に、ようやく我に返ったリリアは写真から顔を上げて唇をわなわなと震わせる。いや、唇だけではなく、全身が震えていた。
驚いたセベクがこちらを心配して声をかけてくるが──シルバーはなぜか呆れたようにこちらを見ている──リリアはそれに応えることができなかった。それよりももっと衝撃なことに気づいてしまったからだ。
これは写真である。つまりは、この格好いいマレウスの写真を撮った人物がいるということだ。撮影者はリリアが見るよりも先に、この格好いいマレウスを生で体感しているのだ。
こんな格好いいマレウスを恋人であるリリアでさえ見たことはないのに!
そう考えた次の瞬間には脱兎のごとくディアソムニア寮を駆け出しており、叫ぶセベクの声さえも置き去りにしていた。向かうは撮影者である監督生がいるオンボロ寮だ。
そのため、追いかけようとするセベクの首根っこをシルバーが掴み、馬に蹴られたいのかと呆れたように言ったことや馬術部だから馬の扱いには慣れている! と見当違いなことを叫ぶセベクの一幕をリリアは知る由もないのだった。
「たのもう!」
ばんっ! と蝶番が悲鳴を上げて扉が開かれ、その狼藉を働いた人物を認識した瞬間に監督生は思わず「出た!!!!!!」と叫んでしまった。そんな態度にも扉を開けた人物──リリアは肩をすくめるだけで、特に咎めるようなことは言ってこない。かわりに家主の許可を取らずにソファーに座って足を組み「お茶はまだかのう」などと言い放つ。同棲しているゴーストたちはそんなリリアの態度にも慣れたように紅茶を用意し始め、自分の分もテーブルに置いてくれた。こちらとしては一刻も早く帰って欲しいので用意などして欲しくはなかったのだが、心のなかで泣く泣くため息を吐きながら自分もまたソファーに腰掛ける。
「それで、今日は一体なんなんですか……」
「そう、そうじゃ! この写真! お主が撮ったものじゃろう!」
リリアが見ろとばかりに監督生の前に突きつけた写真は、マレウスの誕生日記念として自分が撮った写真だった。特に何の変哲もないただの写真に、首を傾げながらリリアの問いに首を縦に振る。
「これがどうしたんですか? なにか茨の谷ルールでだめなところありましたか?」
撮影時、一国の王を写真に撮るということでマレウスにも確認を取って撮影したのだが気づかないところで不備があったのだろうか。こんなことで国際問題にならないよな、と冷や汗をかきながらおそるおそるリリアへ視線を向けると、彼はぶるぶると全身を震わせている。
「え、あ、あの、リリア先輩……?」
「……だめなところじゃと? そんなの決まっておるじゃろう!」
リリアは拳を握り、思いっきりテーブルに叩きつけながら叫ぶ。
「こんなに格好いいマレウスが衆人の目に晒されるなど断じて許さぬ!!」
「…………………………はぁ」
たっぷりと間を取り、それから零れたのはため息一つだった。後ろでゴーストたちが吹き出しているが目の前のリリアは気づいていないらしい。呆れた視線を向けられていることに気づかずどれほどマレウスが格好いいかを語る相手に頭が痛くなる。
これ、リドル先輩がマレウス先輩にパイ投げした後の写真もあると言ったらどうなるんだろうな、と一抹の不安が過ぎるが自国のことわざである「口は災いの元」をこの世界に来てから充分に理解していたため一切口を開かなかった。夢中で語るリリアの目を盗んで該当する写真を制服の中に隠す。
「ん? 今お主なにかしなかったか?」
「いいえ、なにも。それで、結局リリア先輩は恋人であるツノ太郎を衆目に晒したくないと。それなら大丈夫です、この写真はその一枚しかないですよ」
他の写真はあるけど、と心のなかで呟く。これで満足して帰ってくれないか、と考えるがこれまでの経験からそんなことはないのだろう。現にリリアは先ほどの言葉を聞いて頬を膨らませて拗ねた様子を見せる。そんな一見年相応に見える──年相応ではないと知っているが見た目の可愛さに騙されそうになる──態度に首を傾げた。
「確かに、そんな格好いいマレウスを他の者に見せたくない気持ちはあるんじゃが……それよりももっと、その……わしよりも先にお主があんな格好いいマレウスを見たことが嫌なんじゃ……」
「……それはそれは」
変なところで奥手な恋愛初心者なリリアの可愛らしい嫉妬に思わず頬がにやける。
「だからお主の記憶をちょっと操作しようと思うてな」
「ヤンデレは遠慮します!!!!!!」
前言撤回である。初心者どころかヤンデレの方向に舵切ったリリアに怯えてソファーの裏に隠れる。ゴーストたちが間に立ち塞がってくれたが身体の震えが止まらず、実は傍にいたグリムが「ふなぁ……!」と泣き始めてしまった。
「冗談じゃ、冗談。そこまで本気にしなくとも良かろう?」
「いや、ちょっと冗談に聞こえないです……あなたの場合……」
「くふふ、怖がらせてしもうたな。わしも仕方のないことだとわかっておる、おるのじゃが年甲斐もなく嫉妬してしまった」
すまぬな、と一気に落ち込んだように小さく謝罪したリリアに頭を掻く。そのままソファーの裏から出てゴーストカメラを相手に押しつけた。不思議そうな表情で受け取ったリリアに昔学園長から教わったことを伝える。
「そのカメラ、写真に写ったものが動画として見れたり、実体を持って動いたりするんですよね。本来は撮影者と被写体の結びつきが強ければ、なんですけどそこはほらリリア先輩やツノ太郎ならなんとか出来るかなーと思うので。だから、そのカメラがあればユニオンの衣装を着たマレウス先輩とお話出来るんじゃないかと思いまして」
「お主……」
「写真は消せても一番に見たという事実は消せないし仕方のないことですけど、でもこれでお話出来たらリリア先輩も少しは気が晴れたりするのかな、と」
その言葉にリリアはゴーストカメラを大事そうに抱えなおし、穏やかに微笑んだ。
「ありがとう、では少しの間だけ借りても良いか?」
「はい。あ、でも壊さないでくださいね! 大事なものなので」
「わかっておる」
その後、ゴーストカメラの使い方を指南されたリリアは夕刻にオンボロ寮を去って行った。なぜか巻き込んでくる相手に少しだけ辟易していたが、やっぱり大切な友人たちが幸せそうにしているのが一番だと、緊張で凝ってしまった肩を伸ばしながら思う。
もうアイツ帰ったのか? 怖いんだゾ……と震えてるグリムを宥めながらゴーストたちと一緒に夕飯を用意するためにキッチンへ移動する。
──このとき、良いことをしたと満足していた自分はその後の顛末を知ることはない。
そう、ゴーストカメラでなんとかマレウスを実体化させたリリアが、それを本物のマレウスに見つかってしまいなにがどうなったかはわからないがなぜか三人で性行為をすることになったことなど知る由もないのだった。
畳む
猫が膝の上でおねむなので今夜の更新はないです
猫可愛い
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学生のときはそんなことなかったのになぁ、としみじみ