マレリリ小話毎日更新企画中その2(毎日とは言っていない)続きを読む 「んっ、むぅ、ふ、ぁ……っ」 マレウスはリリアの下唇を己のそれで甘く食み、開いた隙間からぬるりと生温かい舌を入れた。逃げる舌を最初から追いかけることはせずにまずは鋭く尖った犬歯をなぞればリリアの肩が跳ねる。弱点というよりも尖鋭な歯がマレウスの舌を傷つけないか不安なのだろうか、目を瞑ったまま眉を顰めていた。頭を後ろに引き、両手でマレウスの胸板を押しのけようと逃げる素振りを見せたためにリリアの後頭部に手を回して動けないように固定する。 「んんっ、んむっ、っふ……!」 必然的に深まるキスにリリアの口からは空気が漏れたような声が上がる。随分と熱の籠もったそれはリリアの頬を赤く染め上げていき、白い肌に良く映えていた。 ほんの少しの悪戯心で、マレウスはリリアの犬歯で自らの舌を傷つける。途端に広がる血の味にリリアは目を開いたようでこちらと視線が絡み合う。見られていたことを察したリリアがさらに羞恥で顔を紅潮させ、薄い水の膜が張った瞳で睨んでくる姿はたまらく愛しい。 背筋にえも知れぬ感覚が走り、舌から流れる血を塗り込むようにリリアの口内を蹂躙していく。 「んんんっ……!! んっ、んんっ、はっ、ふ、ぅ!」 リリアがぎゅっと瞼を閉じた拍子に頬に涙が伝う。それもまたマレウスにとっては馳走に見えたが、今夜はこのままキスを続けたい気分だった。 歯列をなぞり、上顎の形を確かめるように舌先で舐め上げる。それから逃げていたリリアの舌を捕らえた。 びくり、と震えるリリアに少しだけマレウスは笑いそうになる。もう何度キスや身体を交わらせてもリリアは慣れない様子で、それが余計にマレウスの加虐性を強くしていると知らないのだろうか。 舌の中央にある少し窪んだところを先端から奥までじっくりとねぶっていく。するとリリアの身体から力が抜け、全身をこちらに預けるようにもたれかかってくる。両手は縋りつくようにマレウスの背に回り、ふーっ、ふーっ、と獣のように呼吸を荒くしていた。 互いの舌を絡ませ、混ざり合った唾液を流し込む。飲み込めなかった体液はリリアの顎を伝い、服に濃い染みをつくったようだ。舌を擦り合わせた後に舌先をじゅっ、っと音を立てながら吸い上げればリリアの口からくぐもった悲鳴が上がる。 「んんんっっ! はっ、んぅぅ……っっ!!」 リリアの身体が一際大きく跳ねた。それからリリアが急に目を見開きマレウスを睨み付けたかと思えばこちらの両頬を軽く叩く。一瞬呆けたマレウスの隙をついて拘束から逃げ出したリリアは頬を涙で濡らし、顔を真っ赤に染めたまま口元を両手で押えた。 「ばかもの、キス魔、今度からお主をむっつりスケベと呼んでやる」 「リリア」 「ばか、ばかもの。わしがキスに弱いと知っていて、こんな、こんな……」 ぼろぼろと涙が止まらないリリアを見て、漸くマレウスは己がやり過ぎたのだと気づく。だが、正直に言ってしまえばキスで感じ入り羞恥に震えているリリアの姿はたまらなくそそるものであった。 「すまない、リリア」 謝罪と共にリリアを抱き寄せる。そこで抵抗を一切しないリリアは甘いのか、それとも彼もまたこの先を期待しているのかマレウスには判断がつかなかった。どちらにせよマレウスの傲慢とも言える立ち振る舞いを許しているのは、リリア本人だ。 「────だが、気持ち良かっただろう?」 リリアの耳に直接言葉を吹き込むように彼の耳元で囁く。間髪入れずに肩を震わせるリリアは、ばか! と叫びながらマレウスの胸ぐらを掴んだ勢いそのままに唇を重ねてくる。マレウスの舌に自ら舌を絡ませてくるリリアに自然と口角が上がった。 一度唇を離し、マレウスは濡れた唇を舌で舐める。 「窒息するまで、愛してやろう」 熱を孕んだ声にリリアが目を閉じたのを見届けてから、マレウスもまた瞳を閉じて再び唇を重ねたのだった。畳む 2023.10.11(Wed) 00:44:52 マレリリ
(毎日とは言っていない)
「んっ、むぅ、ふ、ぁ……っ」
マレウスはリリアの下唇を己のそれで甘く食み、開いた隙間からぬるりと生温かい舌を入れた。逃げる舌を最初から追いかけることはせずにまずは鋭く尖った犬歯をなぞればリリアの肩が跳ねる。弱点というよりも尖鋭な歯がマレウスの舌を傷つけないか不安なのだろうか、目を瞑ったまま眉を顰めていた。頭を後ろに引き、両手でマレウスの胸板を押しのけようと逃げる素振りを見せたためにリリアの後頭部に手を回して動けないように固定する。
「んんっ、んむっ、っふ……!」
必然的に深まるキスにリリアの口からは空気が漏れたような声が上がる。随分と熱の籠もったそれはリリアの頬を赤く染め上げていき、白い肌に良く映えていた。
ほんの少しの悪戯心で、マレウスはリリアの犬歯で自らの舌を傷つける。途端に広がる血の味にリリアは目を開いたようでこちらと視線が絡み合う。見られていたことを察したリリアがさらに羞恥で顔を紅潮させ、薄い水の膜が張った瞳で睨んでくる姿はたまらく愛しい。
背筋にえも知れぬ感覚が走り、舌から流れる血を塗り込むようにリリアの口内を蹂躙していく。
「んんんっ……!! んっ、んんっ、はっ、ふ、ぅ!」
リリアがぎゅっと瞼を閉じた拍子に頬に涙が伝う。それもまたマレウスにとっては馳走に見えたが、今夜はこのままキスを続けたい気分だった。
歯列をなぞり、上顎の形を確かめるように舌先で舐め上げる。それから逃げていたリリアの舌を捕らえた。
びくり、と震えるリリアに少しだけマレウスは笑いそうになる。もう何度キスや身体を交わらせてもリリアは慣れない様子で、それが余計にマレウスの加虐性を強くしていると知らないのだろうか。
舌の中央にある少し窪んだところを先端から奥までじっくりとねぶっていく。するとリリアの身体から力が抜け、全身をこちらに預けるようにもたれかかってくる。両手は縋りつくようにマレウスの背に回り、ふーっ、ふーっ、と獣のように呼吸を荒くしていた。
互いの舌を絡ませ、混ざり合った唾液を流し込む。飲み込めなかった体液はリリアの顎を伝い、服に濃い染みをつくったようだ。舌を擦り合わせた後に舌先をじゅっ、っと音を立てながら吸い上げればリリアの口からくぐもった悲鳴が上がる。
「んんんっっ! はっ、んぅぅ……っっ!!」
リリアの身体が一際大きく跳ねた。それからリリアが急に目を見開きマレウスを睨み付けたかと思えばこちらの両頬を軽く叩く。一瞬呆けたマレウスの隙をついて拘束から逃げ出したリリアは頬を涙で濡らし、顔を真っ赤に染めたまま口元を両手で押えた。
「ばかもの、キス魔、今度からお主をむっつりスケベと呼んでやる」
「リリア」
「ばか、ばかもの。わしがキスに弱いと知っていて、こんな、こんな……」
ぼろぼろと涙が止まらないリリアを見て、漸くマレウスは己がやり過ぎたのだと気づく。だが、正直に言ってしまえばキスで感じ入り羞恥に震えているリリアの姿はたまらなくそそるものであった。
「すまない、リリア」
謝罪と共にリリアを抱き寄せる。そこで抵抗を一切しないリリアは甘いのか、それとも彼もまたこの先を期待しているのかマレウスには判断がつかなかった。どちらにせよマレウスの傲慢とも言える立ち振る舞いを許しているのは、リリア本人だ。
「────だが、気持ち良かっただろう?」
リリアの耳に直接言葉を吹き込むように彼の耳元で囁く。間髪入れずに肩を震わせるリリアは、ばか! と叫びながらマレウスの胸ぐらを掴んだ勢いそのままに唇を重ねてくる。マレウスの舌に自ら舌を絡ませてくるリリアに自然と口角が上がった。
一度唇を離し、マレウスは濡れた唇を舌で舐める。
「窒息するまで、愛してやろう」
熱を孕んだ声にリリアが目を閉じたのを見届けてから、マレウスもまた瞳を閉じて再び唇を重ねたのだった。
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