マレリリ小話毎日更新企画中その5(毎日とは言っていない)その4のリリア視点続きを読む リリアは意外にも恋愛話が大好きだ。しかもミックスベリーをふんだんに使用したケーキのように甘酸っぱい青春の一コマのようなものを一番好んでいた。 だから下級生に告白をされたとき、リリアの胸はきゅんきゅんと高鳴ったのを今でも覚えている。リリアにしてみれば学園にいる者などまだまだ青二才も良いところで、そんな彼らが自分に恋愛感情を必死にぶつけてくる姿は可愛らしいと形容するしかない。といってもリリアが彼らに恋愛感情を持つわけもなく、穏やかに、彼らにとって良い思い出になるように告白を断ってきた。一部身の程知らずが暴行を働こうとしたこともあったが若造に後れを取るほどに耄碌しているわけもなく、そういう輩は返り討ちにして少しばかり魔法で記憶を封印させてもらっている。 告白をされるたび、リリアは胸を高鳴らせ「甘酸っぱい青春は良いの~~~~! はー、酒でも飲むかぁ!」と高まったテンションのままに酒を浴びることも多い。一応マレウスやシルバー、セベクにはバレてはいないようだ。特にシルバーにバレたら怒られることは確実なので彼が寝静まった頃にリリアは酒盛りをしている。 さて、ここまでリリアが恋愛話が好きなのには理由がある。リリアは恋愛に憧れていたのだ。 そもそもリリアは恋愛が出来るような環境にいたわけではない。いや、確かに昔プロポーズみたいなものはしたが、アレは二人に置いていかれたくないという気持ちもあったのだ。もっとも、今はそれは叶わぬ願いとなってしまったが。 その後妖精と人間たちの戦いが終わったと思えばリリアはシルバーを拾ったため、恋愛が出来る余裕などなく今に至る。とどのつまり、他人の恋愛話を見て、聞いて自分の青春を取り戻しているわけだ。 そんなわけでリリアは自分への好意に敏感である。なので当然、マレウスがリリアに向ける感情にも気づいていた。というかリリアが離れると寂しそうに天候を悪化させるマレウスは好意を隠すつもりがあるのかと言いたい。気づいていないんだろうな、と思いながらも言葉にして引き留められないマレウスの奥ゆかしさがたまらなく好きなので気づかせるような言葉を言うつもりはなかったりもする。 とはいえ、マレウスが万が一告白したとしてもリリアは受けるつもりはなかった。立場が異なるし、マレウスの母親の件もある。 憧れは憧れのままで。キラキラとした甘酸っぱい青春を傍観者のように見ている方がリリアは楽しい。 そんなことを、つい先ほどまで思っていたのだ。 「リリア! 僕はリリアが好きだ!」 リリアの腕を捉えたマレウスが叫ぶ。飾り気のない、真っ直ぐな言葉。そんなもの、今までも散々聞いてきたはずだった。 マレウスのリリアに向ける瞳は純粋で、そこには下心など全く見えず、ただただ愛に溢れている。 ──触れたところが、熱い。じわじわと二人の熱の境界線がなくなっていく。その浸食されるような感覚にリリアの背筋にぞわぞわとした感覚が走った。 マレウスの顔をこれ以上見るのが怖くて思わず俯いたリリアは、今までにない鼓動の早さに狼狽えてしまう。なんで、こんなの、知らない。ぐるぐると頭の中で混乱が渦巻く。 シルバーとセベクに話しかけられて漸く我に返ったリリアは顔を上げてしまい、ばっちりマレウスと目が合う。その瞳には、リリアだけが映っている。 「~~~~~~~~~~~~~~っっ!!」 顔から火が噴きそうだった。触れている箇所が火傷したかのようにじんじんと切なく疼き、リリアは大きく腕を振ってマレウスの手を解いた。 キラキラ、とマレウスが光って見える。いやマレウスだけではない、リリアの視界に映る全てがキラキラと色づいている。光の暴力に脳がクラクラとして、そしてなによりその中でも一等マレウスが輝いて見えるのが混乱に拍車をかけた。 いつものように断れば良い。傷つけないように、優しく、穏やかに。そう思うのに、リリアの口から出たのは全く逆のことだった。 「こ、こ、こんな場所で言う奴がおるかーーーーーーっっ!!」 それだけを叫んでリリアは魔法で自室に戻る。あれ以上談話室になどいられるはずもなかった。 胸の高鳴りが治まらずに息が苦しい。ちかちかと視界が眩しい。顔が赤くなるのを止められない。マレウスの告白を断るつもりだったのに、いざ想いを告げられればなにも言えなくなってしまった。 ──恋に、落ちてしまった。 恋を自覚してしまったリリアはその場にしゃがみ込み、数時間後シルバーが扉をノックするまで一歩も動けなかった。畳む 2023.10.15(Sun) 00:35:49 マレリリ
その4のリリア視点
リリアは意外にも恋愛話が大好きだ。しかもミックスベリーをふんだんに使用したケーキのように甘酸っぱい青春の一コマのようなものを一番好んでいた。
だから下級生に告白をされたとき、リリアの胸はきゅんきゅんと高鳴ったのを今でも覚えている。リリアにしてみれば学園にいる者などまだまだ青二才も良いところで、そんな彼らが自分に恋愛感情を必死にぶつけてくる姿は可愛らしいと形容するしかない。といってもリリアが彼らに恋愛感情を持つわけもなく、穏やかに、彼らにとって良い思い出になるように告白を断ってきた。一部身の程知らずが暴行を働こうとしたこともあったが若造に後れを取るほどに耄碌しているわけもなく、そういう輩は返り討ちにして少しばかり魔法で記憶を封印させてもらっている。
告白をされるたび、リリアは胸を高鳴らせ「甘酸っぱい青春は良いの~~~~! はー、酒でも飲むかぁ!」と高まったテンションのままに酒を浴びることも多い。一応マレウスやシルバー、セベクにはバレてはいないようだ。特にシルバーにバレたら怒られることは確実なので彼が寝静まった頃にリリアは酒盛りをしている。
さて、ここまでリリアが恋愛話が好きなのには理由がある。リリアは恋愛に憧れていたのだ。
そもそもリリアは恋愛が出来るような環境にいたわけではない。いや、確かに昔プロポーズみたいなものはしたが、アレは二人に置いていかれたくないという気持ちもあったのだ。もっとも、今はそれは叶わぬ願いとなってしまったが。
その後妖精と人間たちの戦いが終わったと思えばリリアはシルバーを拾ったため、恋愛が出来る余裕などなく今に至る。とどのつまり、他人の恋愛話を見て、聞いて自分の青春を取り戻しているわけだ。
そんなわけでリリアは自分への好意に敏感である。なので当然、マレウスがリリアに向ける感情にも気づいていた。というかリリアが離れると寂しそうに天候を悪化させるマレウスは好意を隠すつもりがあるのかと言いたい。気づいていないんだろうな、と思いながらも言葉にして引き留められないマレウスの奥ゆかしさがたまらなく好きなので気づかせるような言葉を言うつもりはなかったりもする。
とはいえ、マレウスが万が一告白したとしてもリリアは受けるつもりはなかった。立場が異なるし、マレウスの母親の件もある。
憧れは憧れのままで。キラキラとした甘酸っぱい青春を傍観者のように見ている方がリリアは楽しい。
そんなことを、つい先ほどまで思っていたのだ。
「リリア! 僕はリリアが好きだ!」
リリアの腕を捉えたマレウスが叫ぶ。飾り気のない、真っ直ぐな言葉。そんなもの、今までも散々聞いてきたはずだった。
マレウスのリリアに向ける瞳は純粋で、そこには下心など全く見えず、ただただ愛に溢れている。
──触れたところが、熱い。じわじわと二人の熱の境界線がなくなっていく。その浸食されるような感覚にリリアの背筋にぞわぞわとした感覚が走った。
マレウスの顔をこれ以上見るのが怖くて思わず俯いたリリアは、今までにない鼓動の早さに狼狽えてしまう。なんで、こんなの、知らない。ぐるぐると頭の中で混乱が渦巻く。
シルバーとセベクに話しかけられて漸く我に返ったリリアは顔を上げてしまい、ばっちりマレウスと目が合う。その瞳には、リリアだけが映っている。
「~~~~~~~~~~~~~~っっ!!」
顔から火が噴きそうだった。触れている箇所が火傷したかのようにじんじんと切なく疼き、リリアは大きく腕を振ってマレウスの手を解いた。
キラキラ、とマレウスが光って見える。いやマレウスだけではない、リリアの視界に映る全てがキラキラと色づいている。光の暴力に脳がクラクラとして、そしてなによりその中でも一等マレウスが輝いて見えるのが混乱に拍車をかけた。
いつものように断れば良い。傷つけないように、優しく、穏やかに。そう思うのに、リリアの口から出たのは全く逆のことだった。
「こ、こ、こんな場所で言う奴がおるかーーーーーーっっ!!」
それだけを叫んでリリアは魔法で自室に戻る。あれ以上談話室になどいられるはずもなかった。
胸の高鳴りが治まらずに息が苦しい。ちかちかと視界が眩しい。顔が赤くなるのを止められない。マレウスの告白を断るつもりだったのに、いざ想いを告げられればなにも言えなくなってしまった。
──恋に、落ちてしまった。
恋を自覚してしまったリリアはその場にしゃがみ込み、数時間後シルバーが扉をノックするまで一歩も動けなかった。畳む